火災の発生時、SNS上では現場のショッキングな映像とともに、不正確な推測やデマが拡散しやすい土壌が生まれます。今回も検索トレンドや投稿においていくつかの事実誤認が見られました。
第一の誤解は、「阪急十三駅の駅舎そのものが炎上している」というデマです。黒煙が駅の真上を覆うように流れたため、遠景からの写真を見たユーザーによって誤った見出しで拡散されましたが、火元は駅舎ではなく近接する民間建築物です。駅構内設備に直接的な大規模延焼被害はありませんでした。
第二の盲点は、「煙の臭いが消えれば安全」という思い込みです。都市型火災、とりわけ複合ビルや飲食店を含む建物火災では、建材や断熱材、プラスチック製品、油脂類が不完全燃焼を起こすことで、無色無臭に近い一酸化炭素(CO)やシアン化水素などの猛烈な有毒ガスが発生します。煙が薄くなったように見えても、路地の吹き溜まりや地下街、建物の開口部付近には高濃度の有毒ガスが滞留している危険性があり、規制線の内側へ興味本位で近づく行為は生命に直結する危険を孕んでいます。