かつての結婚式といえば、厳かな雰囲気の中で新郎新婦がペンを走らせる姿を、ゲストが静かに見守るのが定番だった。しかし、そのスタイルに物足りなさを感じるカップルが急増している。画一的なセレモニーに対する違和感。自分たちらしさを表現したいという欲求。それらが重なり合い、演出の主役は「主役の二人」から「その場にいる全員」へと移り変わった。
コロナ禍を経て、人々がリアルな集まりに求める熱量は劇的に上がった。わざわざ足を運んでくれた大切な人たちと、一生残る何かを共有したい。そう願うのは極めて自然な流れだ。紙の証明書をファイルに眠らせておく時代は終わり、日常の空間に溶け込むアートへと進化を遂げたのである。