Q1:ブルーボーイ事件の裁判で、手術を受けた当事者本人は処罰されたのですか?
A1:いいえ、手術を受けた当事者が処罰されることはありませんでした。優生保護法違反(正当な理由のない不妊手術)の主体は「手術を行った医師」であり、手術を受けた患者側を処罰する規定は存在しないためです。ただし、法廷に証人として呼び出され、極めて私的な性生活や心理状態について詳細な尋問を受ける精神的負担を強いられました。
Q2:なぜこの事件の後、日本国内で性別適合手術が行われなくなったのですか?
A2:東京地裁判決が「正当な医療行為と認められるための要件」を非常に厳格に定めたためです。当時は診断のための学会ガイドラインも存在せず、万が一体制に不備があれば「優生保護法違反として刑事起訴される」というリスクを恐れた大学病院や医師たちが、手術の執刀を一斉に控えるようになったからです。
Q3:性転換手術と性別適合手術(SRS)は何が違うのですか?
A3:根本的な意味は同じですが、使われる文脈と時代背景が異なります。昭和期には「性転換手術」という呼称が一般的でしたが、性のあり方を単に人為的に「転換」させるというニュアンスを排し、自身の本来持つ性同一性に身体を「適合」させる医療であるという認識から、現在は「性別適合手術(Gender Affirming Surgery / GRS、またはSRS)」と呼ぶのが医学的・社会的な標準となっています。