検索エンジンで店舗名を打ち込むと候補に現れる「閉店」の二文字に、不安を覚えた買い物客は少なくありません。しかし、運営元であるイオンリテール株式会社の公式発表資料や現地調査を確認する限り、同店が完全閉館・撤退するという計画は存在せず、現時点においても活気ある営業が続けられています。
では、なぜこのような根拠のない噂が一人歩きしてしまったのでしょうか。商業施設の動向に詳しい流通アナリストへの取材や、過去数年間の店舗変遷を分析すると、主に3つの構造的要因が見えてきます。
第1に、イオン宇品ショッピングセンター内で周期的に発生するテナントの契約満了に伴う一時的な空き区画の発生です。数店舗のテナントが退去し、新たな誘致が進められる改装期間の様子を目撃した一部の利用者が、「ショッピングセンター全体が閉まる前兆ではないか」とSNS等に投稿したことが初期の火種となりました。
第2に、全国規模で進むイオングループの老朽化店舗スクラップ&ビルド戦略に関する報道との混同です。中四国エリアでも一部の古い総合スーパー(GMS)の業態転換や閉店が報じられた際、同年代に開業した店舗の利用者心理として「宇品店も対象になるのではないか」という憶測が連鎖的に拡大しました。
第3に、広島市南区における熾烈な商業施設間競争です。宇品地区はロードサイド店舗や競合スーパーが密集する激戦区であり、市場環境の厳しさを語るネット掲示板の書き込みが、いつしか「閉店決定」という歪んだ情報へと変貌を遂げていきました。現地に足を運べば一目瞭然ですが、生鮮食品売り場には開店直後から大勢の買い物客が訪れており、地域の生活拠点としての機能は揺らいでいません。