日本中を震撼させた悲劇は、2013年10月5日午後4時50分頃、山口県美祢市東厚保町の中国自動車道下り線(美祢インターチェンジ〜美祢西インターチェンジ間)で起きました。桜塚やっくん(本名:斎藤恭央さん、当時37歳)がリーダーを務める女装ロックバンド美女♂men Zのメンバーらは、翌日6日に熊本県荒尾市のグリーンランドで開催される音楽イベントへ向かうため、ワゴン車(トヨタ・ハイエース)で移動中でした。
現場は緩やかな下り坂が続く右カーブでした。当日はあいにくの降雨により路面が濡れて滑りやすい状態にあり、走行中のワンボックスカーがコントロールを失って中央分離帯のガードレールに激突。車両は追い越し車線上を塞ぐ形で停止しました。
自損事故そのものによる乗員の負傷は打撲程度にとどまっていました。しかし、本当の悲劇はその直後に発生します。車両を安全な場所へ移動させ後続車へ危険を周知するため、マネージャーの砂守孝多朗さん(当時34歳)が車外の路上へ出たところ、後続の走行車線から進入してきた普通乗用車にはねられました。
さらに、仲間やマネージャーの安否を気遣い、後続車に対して危険を知らせようと車外へ飛び出した斎藤恭央さんも、後続の大型トラックに相次いではねられる事態となりました。山口県警高速隊の検案結果によると、斎藤さんの直接の死因は心臓破裂、マネージャーの砂守さんの死因は肺破裂などによる外傷性ショックと発表されています。夕暮れ時の視界不良と雨天、そして高速道路の本線上という極限状態が重なった痛烈な二重事故でした。