定価980円〜1,200円前後で販売される美容誌に、数千円クラスのデパコス付録現品や高機能美容液のミニボトルが付く現象について、「なぜ赤字にならないのか」と疑問を抱く読者は少なくない。この仕掛けを読み解く鍵は、化粧品業界における新規顧客獲得コスト(CAC)の激変にある。
デジタル広告の出稿単価が高騰し、SNS上でのインフルエンサーマーケティングが飽和状態を迎える中、ブランド各社にとって「確実に美容感度の高い層の手元へ現品を届ける」ハードルは年々上昇している。百貨店のカウンターへ足を運ばない層に対しても、美容雑誌を経由すれば1部あたり数十円から数百円の協賛コストで実物を体験させることが可能となる。メーカー側にとっては、数千円のWEB広告を踏ませてサンプル請求させるよりも、雑誌付録として提供した方が圧倒的に高い投資対効果(ROI)を生み出す計算だ。
一方の出版社側にとっても、紙媒体の発行部数がシビアに問われる中、付録の求心力による完売実績は広告枠の価値を維持・向上させる絶対条件となっている。メーカーのプロモーション予算と出版社の部数維持戦略が合致した結果、原価構造を度外視したような「神付録」が毎月のように誕生している。