ネット上の情報やSNSの短編動画では、「どんな豆でもアイスモードで淹れれば美味しくなる」といった短絡的な言説が見受けられますが、これは完全な誤解です。
アイスコーヒーは液体温度が下がることで、人間の舌が酸味や渋味をより鋭敏に感知する生理学的特性があります。そのため、浅煎りのフルーティーな豆をそのまま通常のアイス設定で淹れると、人によっては「刺すような酸味」や「薄っぺらい水っぽさ」として知覚されやすくなります。キレのあるビターなアイスを求めるなら、フレンチローストやイタリアンローストといった深煎り・極深煎りの豆を細挽きにするのが鉄則です。
また、「氷は何でも良い」というのも大きな間違いです。家庭用冷蔵庫の自動製氷機で作られた氷は、内部に微小な気泡や不純物を含んでおり、融点が低く非常に溶けやすい性質を持っています。プロが市販のロックアイス(純度の高い硬い氷)を推奨するのは、急冷時の急激な溶け出しを防ぎ、狙った濃度でピタリと冷却を完了させるためです。