SNSやコミュニティサイト、知恵袋などに寄せられた膨大な反響を分析すると、この楽曲を「人生の防波堤」として受け止めている人々の生々しい声が浮かび上がってきます。
「会社で理不尽な降格処分を受け、明日が見えなくなった時、駅のホームでこの曲を聴いて涙が止まらなかった」「資格試験に3度失敗し、周囲から潮時だと笑われたが、『噛み終えたガムの味』という歌詞に救われてもう一度机に向かった」といった体験談が数多く見受けられます。
ここで共通しているのは、曲を聴いた人々が「勇気づけられて明るくなった」のではなく、「自分が抱える惨めさや愚かさを否定されずに肯定された」と感じている点です。世の中に溢れるポジティブな言説は、時に傷ついた人間を追い詰める凶器となり得ます。しかし『馬と鹿』は、どん底の泥水にまみれた状態のまま、そこに寄り添ってくれるからこそ、多くの人々にとって代えがたい精神の支えとなって機能しているのです。