2020年秋から放送された『ひぐらしのなく頃に業』および2021年の『ひぐらしのなく頃に卒』は、単なる旧作のリメイクではなく、昭和58年の惨劇を克服した「その後の世界」を描いた完全な続編でした。旧作と新作では、物語の構造・黒幕・ループのルールが根底から覆されています。
この構造的差異が最も鮮明に現れたのが、放送当時大きな衝撃を与えた祟騙し編の謎と解答です。旧作の「祟殺し編」では、虐待を行う叔父・北条鉄平を前原圭一が殺害する展開でしたが、業の祟騙し編では圭一が村中を巻き込んで法的な保護児童相談所への働きかけを行い、無血で沙都子を救い出す「正解のルート」を辿りました。
しかし、そこで起きた結末は圭一と鉄平の凄惨な血闘でした。卒(明石編・郷壊し編)で明かされた解答は、鉄平自身が過去のループの記憶(フラッシュバック)によって自省し、沙都子を慈しむ良き叔父へと改心していたにもかかわらず、沙都子が圭一らを欺くための狂言虐待を演じ、鉄平を陥れていたという戦慄の事実でした。旧作の勝利条件であった「仲間への相談」をクリアしてもなお惨劇が防げない巧妙なトラップが仕掛けられていたのです。