ポチ袋にお札を入れる際、なぜ「向き」や「折る順番」を間違えると失礼にあたるのでしょうか。その決定的な理由は、日本の伝統的な贈答文化における「慶事(お祝い・お礼)」と「弔事(お悔やみ)」の厳格な差別化にあります。
慶事では「喜びを広げる」「相手に顔を向けて祝福する」という意味を込めて、肖像画が表を向き、封を開いて広げたときに最初に顔が見える状態を作ります。これに対して弔事では「悲しみに顔を伏せる」という意味から、肖像画を裏側に隠したり、うつむかせたりして包むのが古くからの習わしです。
折る順番を間違えて「右から先に折る」と、右側の重なりが下になり、相手が開いたときに裏面が見えてしまうなど、弔事用の折り方に近づいてしまいます。また、ポチ袋の中で上下が逆さまになっていると、「お金を投げ出す」「相手を見下す」といった無作法な印象を与えかねません。相手が袋からスッと取り出し、折り目を開いたその一瞬に心地よさを感じてもらえるかどうかが、マナーとしての成否を分けます。