もちろん、原作者である枢やなによる緻密な作画と世界観の構築がなければ、この熱狂はあり得なかった。ヴィクトリア朝の衣装、アンティークな家具、カトラリーの質感に至るまで、徹底的なこだわりが画面から溢れ出ている。セバスチャンの燕尾服のシワ一つにも、耽美主義的な美意識が宿っているのだ。
単なる「イケメンキャラクター」の枠に収まらない、美術品としての完成度がそこにはある。ゴシックホラーとミステリー、そして英国貴族の退廃的な文化が見事に融合した世界観の中で、セバスチャンという漆黒の存在は、最も美しく咲き誇る毒花のように機能している。