復帰後の船坂弘の人生には、文学史における巨星・三島由紀夫との深い交流が存在した。戦後、剣道を通じて知り合った二人は、武士道精神と日本の将来について幾度となく熱く議論を交わしたという。三島は船坂の壮絶な戦場体験と、その瞳の奥に宿る静謐な覚悟に深い敬意を抱いていた。
三島が船坂に寄贈した名刀「関の孫六」は、二人の絆を象徴する有名な逸話だ。三島由紀夫が市ヶ谷で自決を遂げる直前、船坂に贈ったこの刀には、死線をくぐり抜けた武人への畏敬の念が込められていた。現代においても、この二人の対話記録や書簡は、戦後日本人が失った武士道の精神を探る上で貴重な歴史的資料となっている。