足立区青井という下町の住宅街の一角に、なぜこれほど本格的な英国風庭園が存在するのか。その背景には、足立区が推進してきた「花と緑のまちづくり」施策と、地域コミュニティによる献身的なボランティア活動の歴史が存在します。
青和ばら公園は、かつて区画整理によって生み出された公共用地を有効活用する形で開園しました。周囲を住宅に囲まれた限られた敷地面積でありながら、ヨーロッパの宮廷庭園を想起させるシンメトリー構造を採用。中央に配されたドーム型の洋風ガゼボ(あずまや)や彫刻、視線を上へと誘導する立体的なつるバラ仕立てなど、空間心理学に基づいた奥行きを演出するランドスケープデザインが施されています。
関係者や地域ボランティア「青井バラの会」の証言によると、約100品種に及ぶ多種多様なバラの健康状態を維持するため、冬季の強剪定や初春の施肥、病害虫の早期防除など、年間を通じて緻密な土壌管理が施されています。ハイブリッド・ティー(大輪系)、フロリバンダ(中輪房咲き系)、クライミング・ローズ(つるバラ系)を立体的に組み合わせることで、どの角度からレンズを向けても背景に花が重なる「超高密度な景観」が生み出されているのです。