富士山はどこにある?静岡・山梨の境界線と山頂住所の真相を徹底解説

富士山はどこにある?静岡・山梨の境界線と山頂住所の真相を徹底解説

富士山はどこにある?静岡・山梨の境界線と山頂住所の真相を徹底解説の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。

ネット上やSNSでは「富士山の山頂には住所が存在しない」「国が所有する聖域である」といった俗説が頻繁に語られます。しかし、登記簿上の現実はまったく異なります。山頂を含む八合目以上の広大なエリアは、国のものでも自治体のものでもなく、富士山本宮浅間大社(本宮:静岡県富士宮市)の私有地(境内地)です。

その歴史的根拠は、慶長9(1604)年に徳川家康が関ヶ原の戦いの戦勝奉納として、富士山頂の支配権を富士山本宮浅間大社に寄進したことに始まります。江戸幕府もこの寄進を公式に承認し、幕末まで神社の所領として管理されていました。ところが明治維新後の1871(明治4)年、新政府による「上知令」によって山頂部が強制的に国有地へと編入されてしまいます。

戦後、宗教法人法が施行されると、全国の寺社仏閣に旧境内地が返還される動きが進みました。浅間大社側も富士山八合目以上の返還を求めて国を相手取った訴訟を提起。この法廷闘争は実に30年近くに及びました。1974(昭和49)年の最高裁判所判決により、登山道や気象観測所敷地などを除く約385万平方メートルが浅間大社の境内地であることが確定。その後、境界未定ゆえの登記手続きの遅れを経て、2004(平成16)年に国から浅間大社へ正式に土地が譲渡されました。

では、「山頂に住所はあるのか」という点についてはどうでしょうか。行政区画としての境界が定まっていないため、厳密な意味での公的な番地は存在しません。しかし、山頂で夏季限定営業を行う「富士山頂郵便局」には便宜上、「静岡県富士宮市粟倉地先」または富士山本宮浅間大社奥宮の所在地に基づいた郵便番号(〒418-0011)が割り振られています。手紙を送ることも可能であり、「完全な住所不定地」ではなく「行政実務上の便宜的住所を持つ私有地」というのが正確な実態です。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。