初学者が最も誤解しやすく、警察による取り締まりや現場指導でトラブルに発展しやすいのが公道走行と作業資格の違いです。「高所作業車の資格を取れば、トラックに乗って現場まで運転していける」と勘違いしているケースが散見されます。
結論から述べると、技能講習や特別教育で得られるのはあくまで「現場でブームを伸ばし、作業床を操作するための作業資格」に過ぎません。その車両がトラック架装型であり、公道を自走して移動する場合には、道路交通法の区分に応じた自動車運転免許(普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許、あるいは大型特殊免許)が別途絶対に必要となります。
例えば、車両総重量が5トンを超える中型トラックベースの高所作業車を運転して現場へ向かう場合、平成29年以降に取得した普通免許(車両総重量3.5トン未満限定)では無免許運転(道路交通法違反)となります。どれほど技能講習の成績が優秀であっても、道路を走らせる権限とは完全に法域が分断されているのです。
労働安全衛生法上の無資格運転に対する罰則も極めて重く設定されています。資格を持たない作業者に高所作業車を操作させた事業主には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(労働安全衛生法第119条)。ひとたび現場で無資格操作が発覚すれば、元請からの即時退場処分、現場全体の工事停止、さらには指名停止措置といった壊滅的な経済的・社会的損失につながる構造を忘れてはなりません。