最初から俳優を目指していたわけではない。若い頃の駿河太郎が熱中していたのは音楽だった。イギリスへの留学経験を経てバンド活動に明け暮れ、メジャーデビューも果たしている。当時は父親の名前を完全に伏せ、己の歌声とギターだけで勝負しようとしていた。
しかし、30歳を目前にした時期に大きな転機が訪れる。劇団の立ち上げや演技との出会いが、彼の内に眠っていた表現者としての血を呼び覚ましたのだ。遅咲きからのスタートは決して甘いものではなかったが、現場での愚直な姿勢と泥臭い下積みが、彼の役者としての根幹を創り上げた。