多くの日本人の記憶には「我が巨人軍は永久に不滅です」という一文が強烈に焼き付いていますが、実際のスピーチはファンへの深い感謝と、勝負の世界から身を引く男の矜持が込められた約3分間の構成でした。
公式記録および当時の放送音声に基づく巨人軍は永久に不滅です 全文は以下の通りです。
「大変長く、皆様方に親しまれ、愛された長嶋茂雄でございましたけれども、今日をもちまして引退をいたします。振り返りますれば、17年間にわたる現役生活、様々なことがございました。しかし、私にはいつも、温かい皆様方の励ましとご声援がございました。この素晴らしいファンの皆様に恵まれ、グラウンドを去っていく私は、本当に幸せ者でございます。皆様、本当にありがとうございました。私は今日、引退をいたしますが、我が巨人軍は永久に不滅です! 今後、微力ではございますが、新しい野球の発展のために、命を懸けて邁進する覚悟でございます。皆様、本当に、長い間、ありがとうございました」
後年、メディアやネット上で議論を呼んだのが「スピーチの元ネタは誰が書いたのか」という疑問です。長年ささやかれた噂には「球団の広報担当者が用意した官僚的な原稿だった」「懇意にしていた作家が代筆した」といったものがありました。しかし、後年の関係者証言や自著『燃えた、打った、走った!』などの記述を照合すると、実態は大きく異なります。
実際には、当時親交の深かったスポーツニッポンの記者らと自宅で意見を交わし、数パターンのメモを作成していたことは事実です。用意された下書きの多くは「読売巨人軍は今後も戦い続けます」といった常識的な表現にとどまっていました。しかし、セレモニー直前に長嶋自身がペンを取り、「永久に不滅」という強い確信に満ちた言葉へと書き直したと伝えられています。理路整然とした文章論を超えた、直感的な感情の爆発こそが、あのフレーズの真の起源でした。