「背中を剃ったら、翌日ニキビが一面に広がった」という悲鳴がSNS上で散見されます。しかし、ここに皮膚科学的な大きな誤解が潜んでいます。背中に発生する赤く腫れたプツプツの約7割は、一般的な顔のニキビ(アクネ菌の増殖)ではなく、マラセチア菌という真菌(カビの一種)が毛包内で繁殖した「マラセチア毛嚢炎」や、物理的破壊による剃刀負けです。
このトラブルを引き起こす背中ニキビ原因と剃刀負けの真相は、カミソリによる角質層の削り過ぎにあります。背中の皮膚は厚いように見えて、実は顔の皮膚よりもターンオーバーが遅く、皮脂腺が多い割に水分保持能力が低いアンバランスな部位です。不適切な刃の圧力によって角質バリアが剥ぎ取られると、毛穴の入口に微小な傷口が生じます。そこへ、浴室内や寝具に存在する常在菌が侵入し、一晩のうちに爆発的な炎症を引き起こす構図です。
万全な背中自己処理の肌荒れ防止対策として、処理直後のアルコール含有化粧水の使用は厳禁です。傷口に刺激を与えるだけでなく、急激な乾燥を招きます。推奨されるのは、抗炎症成分であるグリチルリチン酸2Kやアラントインが配合された低刺激の薬用ミストを吹きかけ、その上から油分の少ない高純度ワセリンやセラミド配合ゲルで蓋をすることです。手の届かない背中への塗布には、柄の付いた市販の軟膏塗り具を活用することで、塗りムラによる炎症発生をシャットアウトできます。