スキルス胃がんと診断された際、生存の確率を1%でも引き上げるために患者と家族が下すべき判断基準は明快である。何を選択し、何を避けるべきか。専門的な見地から提示したい。
信頼できる名医・病院を選ぶための絶対基準
スキルス胃がんの治療では、病院選びが生死に直結する。選定の指標とすべきは以下の3点である。
- 胃がんの手術・化学療法の症例数(年間胃切除術100例以上など)が豊富な特定機能病院・がんセンターであること
- 消化器内科、消化器外科、腫瘍内科、病理診断科、放射線科による多職種カンファレンス(キャンサーボード)が日常的に機能していること
- クローディン18.2やHER2、MSI検査などの網羅的バイオマーカー検査を迅速に行い、最新治験へのアクセス手段を持っていること
【プロの教訓】患者と家族が保つべき「心理的バウンダリー(境界線)」
家族が難治がんと宣告された際、日本社会特有の「家族総出での自己犠牲」や過度の共依存関係に陥り、共倒れになるケースが後を絶たない。特に家族が焦燥感から「絶対に治る」と謳う高額な自由診療や怪しげな民間療法を患者に強要し、標準治療を中断させてしまう悲劇は医療現場で今なお繰り返されている。
家族に求められるのは、奇跡を盲信して暴走することではなく、「医療の判断は専門医に委ね、家族は患者の生活と精神の安心を守る」という心理的バウンダリー(境界線)の確立である。過剰な介入を避け、患者本人の尊厳と体調を支える冷静な伴走者であることこそが、過酷な抗がん剤治療を完遂させる最大の支えとなる。