騒動の発端となったのは、2023年7月2日に東京ドームで行われた巨人対阪神12回戦でした。阪神が2点リードで迎えた7回表、2死二塁の場面で打席に入った近本光司選手に対し、マウンドの巨人の変則左腕・高梨雄平投手が投じた初球、内角高めへのシュートがすっぽ抜ける形で右脇腹付近を直撃しました。
激痛のあまりその場に倒れ込み、苦悶の表情を浮かべた近本選手は、一度は立ち上がって一塁へ向かったものの直後に代走を送られてベンチへ退きました。翌7月3日、球団から発表された診断結果は「右第5肋骨骨折」。当時打率.284、出塁率.381、12盗塁と首位を快走するチームの絶対的支柱だったリードオフマンの長期離脱は、18年ぶりのリーグ優勝を目指していた阪神タイガースにとって計り知れない痛手となりました。
報道各社の取材記録によると、近本選手は同年のオールスターゲーム出場も辞退せざるを得ず、全治数週間の過酷なリハビリ生活を余儀なくされました。首位独走の勢いを削がれかねない危機に直面した阪神ファンにとって、この死球は単なるアクシデントの枠組みを超え、強い憤りを伴うトラウマとして深く刻み込まれることになったのです。