多くのラグジュアリーブランドがECサイトの拡充やSNSでの大規模なデジタルキャンペーンに傾斜するなか、同ブランドの姿勢は徹頭徹尾、アンチデジタルだ。公式オンラインストアでのレギュラー商品の販売は行わず、在庫状況も非公表。店頭に何が並んでいるかは、実際に足を運ぶまで誰にもわからない。
この一見すると時代錯誤な販売戦略こそが、最強のマーケティングとして機能している。SNSで情報が瞬時に拡散し、あらゆるものが可視化される現代社会だからこそ、「秘密主義」が持つ神秘性が引き立つのだ。
買いたいときにボタン一つで買えない体験。これこそが、利便性に慣れきった若年層にとって新鮮な衝撃として映る。情報開示を最小限に抑えることで、実店舗を単なる売り場ではなく、一種の「聖地」へと昇華させることに成功している。