館内へ足を踏み入れた来館者がまず息を呑むのが、2階から3階を貫く容量1,500トンの「黒潮大水槽」です。黒潮の奔流を再現したこの水槽では、世界最大の魚類であるジンベエザメが悠然と旋回し、その周囲をマグロやカツオの群れ、巨大なエイが銀色の軌跡を描きながら泳ぎ回ります。
ここで注目すべきは、展示されているジンベエザメ(愛称「ユウユウ」)に対する水族館側の真摯な姿勢です。同館では、定置網に迷い込んだ個体を保護・飼育し、全長が約5.5メートルに達する前に自然の海へと放流する「かごしま方式」を一貫して採用しています。命を長期間閉じ込めるのではなく、成長を見届けて野生へ還すというエシカルな展示方針は、環境保全を重視する現代の来館者からも厚い共感を集めています。
一方、エンターテインメントと知的好奇心を刺激するのが、イルカプールで開催される「いるかの時間」です。単なる曲芸の披露にとどまらず、イルカが持つ驚異的なエコーロケーション能力や体の構造を、トレーナーが軽妙かつ論理的に解説。さらに館外へ足を延ばせば、錦江湾の海水がそのまま引き込まれた全長275メートルの「イルカ水路」があり、水族館の入場券を持たない一般の通行人でも、空の下をのびのびとジャンプするイルカの姿を無料で観察できます。この驚くべき地域開放型の展示スタイルは、全国の水族館を見渡しても唯一無二の試みといえます。