三重県出身の松岡依都美は、大阪芸術大学舞台芸術学科演技コースで基礎を学んだ後、2003年に日本の演劇界を牽引する名門・文学座附属演劇研究所の門を叩きました。文学座といえば、杉村春子をはじめ数々の名優を輩出してきた劇団であり、入所後も座員への昇格試験を突破できるのはほんの一握りという厳しい環境です。
2004年に俳優座劇場『名は五徳』で初舞台を踏み、2007年には日生劇場での文学座本公演『美しきものの伝説』に出演。着実に評価を積み重ね、2008年に正式な座員(劇団員)へと昇格を果たしました。アトリエ公演『トロイアの女たち』やテネシー・ウィリアムズ作品など、骨太な翻訳劇から現代劇まで多様な戯曲と対峙した経験が、彼女の揺るぎない身体性と正確なセリフ術の礎となっています。
20代から30代初頭にかけての若い頃、派手なタレント活動には目もくれず、薄暗い稽古場と劇場空間で泥臭く人間の業(ごう)を掘り下げてきた経験こそが、現在の映像界で重宝される「作られた美しさではない、生々しい人間のリアリティ」を生み出しています。