旧来の世帯視聴率という物差しは、今やメディアの実際の影響力を測る指標としては不完全なものになりつつある。特定の機器が設置された世帯の受像機稼働率を示すこの数字には、通勤電車の中でスマホ画面を凝視する若者も、深夜に職場のPCで速報を追うビジネスパーソンの姿も一切反映されない。
株式会社ビデオリサーチも個人視聴率やタイムシフト視聴の計測を進めているが、デジタル空間のトラフィックを完全統合するには至っていない。メディア側が世帯のパーセンテージに一喜一憂する陰で、実際には地上波とストリーミングを合算した「真の到達者数」は、過去の黄金期に匹敵する規模に達しているという分析もある。
数字の低下を理由に「若者のサッカー離れ」と断じる言説は、実態を見誤っている。失われたのはファンの関心ではなく、旧態依然とした測定基準への信頼性なのだ。