全国の事業者が保管する旧型車両への注目度は、ここ数年で急上昇した。昭和30〜40年代に主役だったボンネットバスはもちろん、昭和末期から平成にかけて活躍した角ばったデザインのワンマンバスまで、保存・運行される車種の幅も広がっている。
背景にあるのは、移動そのものを楽しむ「体験型消費」へのシフトだ。現代の都市バスは機能性やバリアフリー性能において完璧だが、デザインはどこか均一化されている。対照的に、かつてのバスはメーカーや年式ごとにライトの形状から座席のモケット模様に至るまで個性の塊だった。ドアが開く瞬間のプシューというエア音ひとつ取っても、乗客にとっては特別な演出に感じられるのだ。