この戦術の価値を理論化し、世界に浸透させたのがブラジリアン柔術の台頭だ。1990年代以降、ガードポジションから相手をコントロールし、関節技やスイープ(体勢の入れ替え)を狙う技術が急速に進化。下になった選手が単なる「弱者」ではなく、攻撃の起点となる事実が立証された。
知られざる戦術論の新事実として、猪木がアリに見せた姿勢は、柔術における「オープンガード」の原初形態にほかならない。立つ相手の距離感を狂わせ、威力を削ぐ。力で押すのではなく、幾何学的な角度と距離で打撃を無力化する発想は、まさに現代MMAのグラウンド攻防の礎となった。