相撲界における最大の転換点の一つが、公益法人制度改革に伴う公益財団法人への移行劇だ。それまでの「身内の論理」が通用した閉鎖的な組織から、高い透明性と説明責任が求められる近代的な法人組織への脱皮が命じられたのである。
行政指導を行う文部科学省との間では、コンプライアンスの徹底や外部有識者の導入を巡り、度重なる激しい攻防が繰り広げられた。古くからの慣習を守ろうとする親方衆の反発と、社会的な信頼回復を求める外部からの圧力。その板挟みになりながら、組織の解体を回避するために決断を下してきたのが歴代のトップたちであった。
このガバナンス改革の一環として、横綱の品格や進退を諮問する横綱審議委員会の役割もより重みを増すこととなる。伝統芸能・国技としての神聖な面を尊びながらも、近代社会の厳しい倫理基準に適合させるための構造改革は、今なお進行形の課題となっている。