猫の年齢換算において、従来から広く使われてきた節目が「7歳」だ。人間の年齢に換算するとおよそ44歳に相当し、中年期から高年齢期への移り変わりを意味する。日本獣医師会の指針や各種研究機関のデータにおいても、7歳以降をシニア期の始まりとみなす分類が定着している。だが、現代の獣医学が解明しつつあるのは、7歳という数値そのものよりも、体内で進行する不可視の変化の重みだ。
最新の臨床研究によると、7〜10歳前後の猫に見られる「老化の初期サイン」は極めて微細である。例えば、光に対する瞳孔の収縮スピードがわずかに遅くなることや、足の肉球が乾燥しやすくなる現象が挙げられる。さらに、業界団体が策定した「シニア期猫の健康維持ガイドライン」でも強調されている通り、体重のわずかな減少や筋肉量の変化は、消化吸収能力の減退を示すシニア初期のシグナルにほかならない。毛づくろいの頻度が落ち、背中の中央付近に被毛の束ができる現象も、関節のしなやかさが失われつつある兆候として見逃せない。