包丁を入れて切る前に、まずは手にとって外見をじっくり観察することで、高確率で甘柿か渋柿かを見極めることができます。プロの選別員や熟練の生産者が最初に着目するのが、甘柿と渋柿の形の違いです。
一般的に、そのまま生食できる甘柿(富有柿など)は、全体的に丸みを帯びたふっくらとした扁平形状(やや平たい球体)をしています。これに対し、昔ながらの渋柿(蜂屋柿や百目柿など)は、先端がスーッと尖った「釣鐘型(つりがねがた)」やどんぐりのような縦長フォルムを描く傾向が顕著です。直売所や庭木で見かける先が尖った柿は、ほぼ間違いなく渋柿と判断して差し支えありません。
もう一つの重要な観察ポイントが、柿のヘタと実の隙間です。果樹園の現場では「ヘタ隙(へたすき)」と呼ばれる現象があり、果実の急激な肥大成長にヘタの成長が追いつかないことで隙間が生じます。特に完全甘柿の代表格である富有柿などでは、果実が横に力強く膨らむ過程でヘタの周囲にわずかな溝や隙間ができやすくなります。一方で、平核無柿などの渋柿はヘタが果肉にピタリと密着して均一に四角く張っているケースが多いため、渋柿と甘柿の見分け方においてヘタの付き方は極めて有効な判断材料となります。
さらに、全国で広く流通する「平核無柿(ひらたねなしがき)」と「蜂屋柿(はちやがき)」の見分け方も覚えておくと役立ちます。平核無柿は種がなく全体が扁平で四角い角張った形状をしている代表的な渋柿(出荷時に炭酸ガス等で渋抜きされるため店頭では甘い状態)です。一方の蜂屋柿は、大ぶりで先端が尖った釣鐘型をしており、干し柿用の最高級品種として親しまれています。