外出先やオフィスなど、横になるスペースを確保できない環境では、経絡刺激と腹壁へのダイレクトな手技が頼もしい選択肢となります。東洋医学において消化管の蠕動運動をダイレクトに司るとされる経穴(ツボ)を活用することで、自律神経の切り替えと腸の緊張緩和を狙えます。
特におならを促すツボとして即効性が期待できるのが、おへそから指2本分外側にある「天枢(てんすう)」と、そこからさらに指3本分下にある「大巨(だいこ)」です。息をゆっくり吐きながら、両手の人差し指と中指を揃えて、心地よい痛みを感じる強さで5秒間圧迫し、息を吸いながら緩める動作を5〜6回繰り返します。また、手の甲側、親指と人差し指の骨が交差するくぼみにある「合谷(ごうこく)」を強めに指圧すると、過度な緊張が和らぎ、腸の痙攣性の収縮を鎮める効果が臨床的にも知られています。
座ったまま、あるいは立位で行えるガス腹マッサージのやり方としては、大腸の走行に沿った「のの字マッサージ」が基本でありながら極めて合理的です。右下腹部(盲腸付近)からスタートし、右肋骨の下(上行結腸)、左肋骨の下(横行結腸)、左下腹部(下行結腸・S状結腸)へと、時計回りに円を描くように手のひらで適度な圧をかけて押し進めます。特に左下腹部にコリコリとした抵抗感がある場合、そこにガスや便が停滞している証拠であるため、親指の腹で優しく直腸へ向かって流すようにさすると排ガスが促されます。