「耳掃除だけでクリニックの予約を取るのは申し訳ない」「医師に嫌な顔をされるのではないか」という不安を抱く患者は非常に多く存在します。ネット上の掲示板やSNSでも、「耳鼻科 耳掃除だけ 恥ずかしい」といった検索ワードが頻繁にトレンド入りするほどです。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属の専門医をはじめとする医療現場の見解は極めて明快です。耳垢の除去は「耳垢塞栓除去」という立派な医療行為であり、診療報酬点数にも明確に規定されています。医師側から見れば、日常的な診療の一環であり、単なる耳掃除を理由に来院した患者を邪険にすることはあり得ません。
専門医がむしろ受診を推奨する背景には、自己流の耳掃除による深刻な医療事故の急増があります。耳の穴(外耳道)の皮膚は厚さわずか0.1ミリメートル程度と極めて薄く、毛細血管が張り巡らされています。市販の竹製耳かきや硬い綿棒で擦ることで、自ら皮膚を傷つけ、細菌感染を引き起こして駆け込んでくる患者が後を絶ちません。医師の本音は「取り返しのつかない傷や炎症を作る前に、最初から専門器具が揃ったクリニックで安全に取らせてほしい」という点に集約されます。