ゲームコミュニティで語り継がれる「ヤーナムステップ」の元ネタは、フロム・ソフトウェアが2015年にPlayStation 4専用タイトルとして発売した『Bloodborne(ブラッドボーン)』です。ゴシックホラーとクトゥルフ神話が融合した架空の古都「ヤーナム」を舞台に、プレイヤーが操るヤーナムの狩人の回避モーションこそがこの言葉の直接の起源にあたります。
当時のアクションRPG、特に同社が確立した『ダークソウル』シリーズでは、敵の重い一撃を「盾で堅実にガードする」か「タイミングよくローリング(前転)してやり過ごす」のが戦術の主流でした。しかし、『ブラッドボーン』では盾を構える防御アクションがほぼ排除され、敵の攻撃を瞬時にすり抜けて前進・横移動するブラッドボーン独自のステップ回避が基本アクションとして実装されました。
敵をターゲット固定(ロックオン)した状態で回避ボタンを押すと、地を滑るような低姿勢のクイックダッシュを展開します。風を切る鋭いSE(効果音)とともに狩人のコートが翻るこの美麗な挙動は、単なる移動手段を超えてプレイヤーに「自らが獰猛な狩人である」という強烈な身体感覚を植え付けました。この体験の鮮烈さこそが、ゲームタイトルや地名と結びついて「ヤーナムステップ」という固有の呼称を生み出した最大の背景です。