障害年金2級の審査は原則として「完全な書面審査」で行われます。審査官が本人の面接に来ることはありません。提出された書類の文字情報だけですべてが決まるからこそ、書類作成の戦略が合否を左右します。
障害年金2級で落ちた理由を分析すると、その過半数は「初診日証明の不備」と「診断書の記載内容の乖離」に集約されます。
まず乗り越えなければならないのが「初診日証明(受診状況等証明書)」の壁です。医師法第24条によりカルテの保存義務期間は5年と定められているため、10年前や20年前に発症した事案では「当時のカルテがすでに破棄されている」という事態が頻発します。この場合、診察券、当時の家計簿、お薬手帳、精神保健福祉手帳の交付記録、職場の健康診断結果、さらには第三者(当時の同僚や友人)の客観的証言書などを積み上げ、初診日を法的に特定・立証していかなければなりません。
次に極めて重要なのが「診断書の書き方」です。医師は医療の専門家ですが、年金法や障害等級の認定基準に精通しているとは限りません。多忙な外来診察の中で、患者の家庭での実生活を100%把握することは物理的に困難です。
診断書の不備を防ぐためには、医師に作成を依頼する際、日常生活の困りごとをまとめた「日常生活状況申告メモ」を添えて渡す手法が極めて有効です。
- 食事:献立を考えて自炊できるか、または配食や家族の促しがなければ食べられないか。
- 身辺の清潔保持:入浴や洗髪、着替えが自発的にできるか、何日も放置してしまうか。
- 対人関係・意思疎通:他者との円滑な会話やトラブル回避が可能か、引きこもっていないか。
- 金銭管理・買い物:計画的な買い物ができず浪費したり、一人で買い出しに行けなかったりしないか。
これらを行動ベースの具体例で医師に提示することで、カルテに実態が正確に反映され、等級判定に耐えうる実効性の高い診断書が完成します。