空堀が単なる「古い商店街」から「独自の文化的発信地」へと昇華した背景には、2000年代初頭から建築家や地元有志が主導した長屋再生プロジェクトの存在があります。その金字塔といえるのが、登録有形文化財などを複合商業施設として再生させた「惣(そう)」「萌(ほう)」「煉(れん)」の3拠点です。からほり惣・萌・煉の店舗情報を頭に入れて散策することは、この街のランチ体験の質を劇的に向上させます。
松屋町寄りに位置する「からほり惣」は、築百余年の長屋に雑貨店やカフェ、和食店が入り組む秘密基地のような構造が魅力です。一方、中央に位置する「からほり萌」は、緑豊かな中庭を囲む落ち着いた配置で、ゆったりとした時間を過ごしたい大人層に支持されています。そして谷町筋に近い「からほり煉」では、歴史ある蔵を改装したチョコレート専門店「エクチュア からほり『蔵』本店」をはじめ、上質なスイーツとカフェランチを堪能できます。
休日を中心に空堀商店街ランチで古民家カフェを巡る利用者が急増していますが、これらの複合長屋は単なる商業テナントではありません。かつての町並みとコミュニティの記憶を保存・継承するための生きた建築物です。木枠の引き戸を開けた瞬間に香る古い木材の匂いと、隙間から差し込む柔らかな自然光のなかで食事をいただく体験は、近代的な商業ビルでは決して得られない贅沢といえます。