織田信成さんの涙が最も真価を発揮し、多くの視聴者の胸を打つのがフィギュアスケートの競技解説です。一般的なスポーツ解説者が冷静沈着に技の精度を分析する中、織田さんは選手がリンクに立った瞬間から当事者のように祈り、会心の演技が終わればマイク越しに嗚咽を漏らします。
とりわけ語り草となっているのが、羽生結弦選手の世界選手権や五輪で見せた歴史的快挙に対する号泣解説です。2018年平昌五輪で羽生選手が連覇を果たした際、実況アナウンサーの問いかけに声にならず「本当によかった……」と号泣しながら言葉を絞り出す姿は、日本中を感動の渦に巻き込みました。
彼がこれほど熱狂し泣けるのは、氷上で完璧な4分間を演じ切るまでにどれほどの孤独と激痛、血のにじむような練習が積み重ねられているかを、誰よりも身をもって知っているからです。技の成否だけでなく、選手が背負ってきた苦悩を瞬時に察知するからこそ、その解説は理屈を超えてファンの心に深く響きます。