ネット上で「ラーメン山」と称される現象の中心にあるのは、1968年に創業した「ラーメン二郎」を源流とするデカ盛りスタイルです。一般的なラーメンのトッピングが数十グラム単位であるのに対し、このジャンルではひと握りどころか、もやしとキャベツが500gから時には1kg以上も積み上げられます。この圧倒的な二郎系野菜タワーは、いかにして誕生したのでしょうか。
関係者の回顧録や各種メディアのアーカイブ取材によると、初期のラーメン二郎は現在のような極端なタワー型ではありませんでした。慶應義塾大学の三田キャンパス近くに移転した後、「体育会の学生たちに、安価で限界まで腹一杯食べてほしい」という創業者の純粋な思いから、麺と野菜の量が加速度的に増えていった経緯があります。つまり、ラーメン野菜山盛り理由の根底にあるのは、マーケティング的な奇を衒った演出ではなく、徹底した顧客本位のサービス精神でした。
さらに、味覚の構造面でもこの山には明確な必然性があります。豚の骨や肉を長時間炊き込み、強力な醤油ダレ(カエシ)と大量の化学調味料、背脂を合わせたスープは極めて塩分濃度が高く、重厚です。ここに茹でたての水分をたっぷり含んだ野菜が合流することで、スープの角が取れ、最後まで食べ進めるための絶妙なクッション役を果たす計算になっています。野菜の黄金比率は一般的に「もやし8〜9割に対してキャベツ1〜2割」とされ、もやしのシャキシャキとした食感とキャベツの甘みが、濃厚な動物系スープの油分を軽やかに中和します。
やがてこのスタイルはファンの間で神格化され、「マシ」「マシマシ」という追加コールの普及とともに高さを競う潮流へと発展しました。一部の熱狂的な店舗では、もやしを円錐状に固めながら垂直に積み上げ、標高30cmを超えるような盛り付けが登場。これが登山用語に準えて「チョモランマ盛り」と呼ばれるようになった真相です。