悠音精舎の歴史を紐解くには、真如苑の開祖である伊藤真乗(いとう しんじょう)の足跡と、その後の教団発展の歴史を理解する必要があります。伊藤真乗は、伝統的な真言密教の系譜を継承しながら、すべての人が等しく救われる道を説く「大般涅槃経」を基盤に据え、昭和から平成にかけて教団の基礎を築き上げました。
悠音精舎は、関西地区において関西本部、大阪精舎(大阪府豊中市待兼山町)に次ぐ3番目の別院として計画されました。建立の地として選ばれたのは、北摂の山並みを望む高槻市阿武野の地です。豊かな自然に囲まれたこの地で、1993年(平成5年)3月26日、現苑主である伊藤真聰(いとう しんそう)導師のもと、厳粛に落慶法要が執り行われました。
施設内には、本堂、護摩道場、集会場などが配備されており、伝統的な仏教儀礼と現代建築が見事に融合しています。特に護摩壇が置かれた空間は、開祖が重んじた「火によって煩悩を焼き払い、清浄な祈りを捧げる」密教法具の様式美が具現化されており、教団にとって関西屈指の霊的拠点として位置づけられています。