アシタカが傷を癒やすモロの君の巣穴で交わされたこの対話は、張り詰めた月明かりの下で展開されます。サンが眠りについた静寂の中、アシタカはモロに「サンを解き放ってやってくれないか。あの子は人間だ」と語りかけます。
これに対し、モロの君は激しい怒気を孕んだ嘲笑とともに「だまれ小僧! お前にあの娘の不幸が癒せるのか」と一喝。続けて放たれたのが「お前にサンが救えるか」という重い一言でした。単なる敵対心から出た言葉ではなく、人間界にも森にも完全に属せないサンの悲哀を誰よりも理解している母としての叫びでした。