ネット上の情報やパッケージの宣伝文句には、現場の安全を脅かしかねない誤認や過大評価が少なからず潜んでいる。利用者が陥りやすい代表的な盲点を検証する。
最も深刻な誤解は、「接触冷感の数値(q-max)が高ければ高いほど、常に涼しく過ごせる」という思い込みである。q-max値は「触れた瞬間に移動する熱量」を示す測定値に過ぎず、生地そのものが冷却機能を発し続けるわけではない。風の通らない無風環境や、直射日光の下で汗が蒸発しない高湿度状況下では、熱移動が飽和して瞬時に温まり、かえって分厚い生地が熱を閉じ込める結果となる。真の涼しさを得るには、冷感数値だけでなく、外気を取り込む通気メッシュの配置面積と吸水速乾スピードを併せて評価しなければならない。
さらに危険なのが、耐切創アームカバーに対する過信である。「刃物で切れないのだから、あらゆる機械作業で安全だ」と誤認して回転工具の現場で着用するケースが見られるが、これは極めて危険な行為である。ボール盤、旋盤、丸鋸といった回転機器の周辺では、高強度繊維で作られたカバーが刃物や主軸に巻き込まれた場合、繊維が千切れずに腕ごと機械内部へ引きずり込まれる巻き込まれ事故を誘発する恐れがある。労働安全衛生の現場規定においても、回転刃物を扱う工程での手袋・アームカバー着用は原則禁止されている点に留意しなければならない。
また、「伸縮性があるからフリーサイズで問題ない」という認識も作業効率を大きく落とす原因となる。過度に細い腕にフリーサイズを装着すれば確実にずり落ちが発生し、逆に太い腕に無理に装着すれば血流を阻害し、終業時に重度の浮腫や腕の痺れを引き起こす。購入前には必ず自身の上腕最大周囲長をメジャーで計測し、製品の適合寸法と照合することがトラブル回避の絶対条件である。