高校数学で学ぶ三角比において、もっとも基本的でありながら混乱を招きやすいのが以下の変換関係です。
・sin(90°-θ) = cosθ
・cos(90°-θ) = sinθ
・tan(90°-θ) = 1 / tanθ
「なぜsinがcosになり、tanは分数(逆数)になるのか」という疑問の答えは、中学幾何でもおなじみの直角三角形の定義に立ち返ることで驚くほど明快に解き明かせます。
直角三角形ABCにおいて、∠Cを90°、∠Aの角度をθと置きます。このとき、三角形の内角の和は180°であるため、残るもう一つの角∠Bの大きさは必然的に「90°-θ」になります。
ここで、基準とする角を「θ(角A)」から「90°-θ(角B)」へ切り替えてみましょう。斜辺の長さ(AB)は変わりませんが、角Aから見て「底辺」だった辺ACは、角Bから見ると「向かい合う辺(対辺)」へと役割が変わります。同様に、角Aの対辺だったBCは、角Bにとっての「底辺」になります。
三角比の基本定義を当てはめると、関係性は次のように結びつきます。
・sin(90°-θ) =(対辺AC / 斜辺AB)= 角Aにおける cosθ
・cos(90°-θ) =(底辺BC / 斜辺AB)= 角Aにおける sinθ
・tan(90°-θ) =(対辺AC / 底辺BC)= 角Aのタンジェント(BC/AC)の逆数 = 1 / tanθ
このように、直角三角形のもう一方の鋭角を見ているに過ぎないため、底辺と対辺の位置関係が入れ替わり、結果としてsinとcosの役割が綺麗に交差します。