重要構造物の支持層評価や大規模な斜面安定計算では、N値からの経験的換算だけでなく、不攪乱(乱さない)試料を用いた室内土質試験によって内部摩擦角を直接算出します。
三軸圧縮試験による算出メカニズム
地盤工学において最も精緻な強度定数測定法が「三軸圧縮試験(JIS A 1214)」です。円柱状の土供試体を圧力容器に入れ、側圧(側方拘束圧:$\sigma_3$)を加えた状態で、軸方向から軸差応力($\sigma_1 - \sigma_3$)を載荷して破壊させます。
拘束圧$\sigma_3$を複数段階(一般に3種類以上)に変えて試験を実施し、破壊時の主応力(最大主応力$\sigma_1$、最小主応力$\sigma_3$)を直径とするモールの応力円(Mohr's stress circle)を同一グラフ上に描きます。これらの応力円に接する共通の接線(破壊包絡線)を引くことで、以下の通り力学定数が求まります。
- 接線の傾き角度:内部摩擦角($\phi$)
- 縦軸(せん断応力軸)の切片:粘着力($c$)
三軸圧縮試験には、排水弁の開閉と載荷速度に応じて「非圧密非排水試験(UU試験)」「圧密非排水試験(CU試験)」「圧密排水試験(CD試験)」の3種が存在します。砂質土の長期強度を求める場合はCD試験、粘性土の間隙水圧挙動を含めて有効応力解析を行う場合は間隙水圧測定付きCU試験($\overline{\text{CU}}$試験)を採用するのが標準的です。
一面せん断試験との比較
上下に分割できるせん断箱に試料をセットし、垂直荷重をかけながら水平に引っ張る「一面せん断試験」も広く普及しています。装置がシンプルで試験期間が短いメリットがある一方、すべり面が強制的に水平方向に固定されてしまうため、応力集中が生じやすい制約があります。厳密な応力経路を追究する現場では三軸圧縮試験が優先されます。