検索窓に打ち込まれる「ジベットスナギツネ」というワードですが、生物学上の正式名称はチベットスナギツネ(学名:Vulpes ferrilata)です。チベット高原の呼称が口伝やタイピングの過程で転じたものと見られますが、ネットコミュニティでは親しみを込めて「チベスナ」の愛称で広く定着しています。
この生物が一躍世界的な脚光を浴びる契機となったのは、英国BBCが制作した自然ドキュメンタリー番組『Planet Earth(プラネットアース)』でした。大自然の荘厳な映像の中で、カメラをじっと見つめるあまりにも感情を削ぎ落とした眼差しが放映されるや否や、世界中の視聴者が騒然となりました。「悟りを開きすぎている」「月曜の朝の会社員そのものだ」といった声がSNSを埋め尽くし、日本国内でも掲示板サイトやX(旧Twitter)を通じて爆発的な広がりを見せたのです。
さらに国内での知名度を決定づけたのが、大手飲料メーカーによるカルピスのテレビCM展開でした。乾きや感情の揺らぎを表現するアイコンとしてチベットスナギツネの表情が巧みにコラージュ・引用され、茶の間のお茶受けとして一気に浸透しました。冷徹に見えてどこか愛嬌のあるあの顔立ち容貌は、単なる一過性の流行を超え、現代のデジタルカルチャーにおける「感情の代弁者」としてのポジションを確立したのです。