実体がないにもかかわらず、なぜこれほど強固な規範として機能するのか。答えは歴史の中にある。前近代の日本において、男性の未経験状態を特権化したり、逆に過度に見下したりする文化は一般的ではなかった。
明治以降の国民国家形成期に、徴兵制や衛生思想と結びつく形で「規律ある身体」が求められたことが転換点となった。性に奔放であることへの戒めと、一人前の兵士・社会人として家庭を築く能力の証明。その狭間で、男性の性体験は個人の私的な営みから、国家や共同体によって品定めされる公的な指標へと変貌を遂げたのである。
実体がないにもかかわらず、なぜこれほど強固な規範として機能するのか。答えは歴史の中にある。前近代の日本において、男性の未経験状態を特権化したり、逆に過度に見下したりする文化は一般的ではなかった。
明治以降の国民国家形成期に、徴兵制や衛生思想と結びつく形で「規律ある身体」が求められたことが転換点となった。性に奔放であることへの戒めと、一人前の兵士・社会人として家庭を築く能力の証明。その狭間で、男性の性体験は個人の私的な営みから、国家や共同体によって品定めされる公的な指標へと変貌を遂げたのである。