本作最大の謎であり、読者に最も強い恐怖と鳥肌をもたらしたのが、超ポジティブヒロイン「風浦可符香(P.N.)」の正体です。彼女は実在する女子高生ではなく、すでに死亡していた少女「赤木杏(あかぎ あん)」の幻影でした。
赤木杏は物語が始まる前、糸色望が最初に赴任した学校の生徒であり、ある事情から命を落としていました。彼女の遺志によって、心臓・角膜・肺・腎臓といった臓器が、後に「2年へ組」となる絶望した少女たちへと移植されます。つまり、作中で天真爛漫に振る舞っていた風浦可符香とは、赤木杏の臓器を持つ生徒たちが、彼女の遺品(カチューシャなど)を身につけて交代で演じていた虚像だったのです。
第1話で糸色望が首を吊っていた桜の木の下に現れた可符香は、木津千里や常月まといといった生徒たちの中に宿る「赤木杏の残留思念」そのものでした。読者が7年間にわたって見ていたヒロインは、ひとりの人間ではなく、複数の生徒たちによって共有されていた「死者のペルソナ」だったという事実に、多くの読者が底知れぬ恐怖を覚えました。