コンクール終了後に開示された審査結果と審査員講評の詳細を分析すると、金賞受賞校と銀賞校の間には極めてシビアな「表現の立体感」と「ピッチの持続力」の差が存在していたことが分かります。
多くの学校が高い技術力を身につけ、譜面通りの正確な演奏をこなす現代のコンクールにおいて、審査員が厳しく注視したのは以下の3点です。
① 和声感(ハーモニー)の純度:強奏時(フォルテシモ)において、金管セクションの音割れやアタックのズレがないか。
② 課題曲におけるマーチやコラールの基礎的解釈:テンポキープだけでなく、フレーズの歌い回しが自然であるか。
③ 自由曲のストーリーテリング:楽曲が持つ世界観をバンド全体で共有し、聴き手に情景を想起させられたか。
惜しくも銀賞となった団体からは「完璧に吹き切った手応えがあった」という声も聞かれましたが、講評では「中間部のオーボエやフルートの弱音ソロにおけるピッチの揺らぎ」や「打楽器群と低音群の重心の不一致」が減点対象として指摘されていました。紙一重のボーダーラインを分けたのは、個々の技術以上に「ホール全体の空気感をコントロールする統率力」でした。