広島東洋カープで圧倒的な実績を残し、2016年にポスティングシステムでメジャーリーグベースボールへと羽ばたいた前田投手。しかし、アメリカでの挑戦は想像以上に過酷なものだった。日本とは全く異なる気候、時差、過密な遠征スケジュール、そして手に入りにくい日本の食材。ここで真価を発揮したのが成嶋さんの徹底したサポート力だ。
彼女は結婚後、ジュニア・アスリートフードマイスターや食生活アドバイザーの資格を取得していた。単に美味しい料理を作るのではない。登板前日、登板当日、リカバリー日といった投手のバイオリズムに合わせ、PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)をグラム単位で計算したメニューを毎食提供したのだ。現地のアメリカンスーパーを何軒も巡って安全な食材を探し出し、長距離移動が続く夫のために特製のお弁当を持たせる。前田投手が故障を乗り越え、メジャーの舞台で腕を振り続けられた背景には、間違いなくこの「食卓の設計図」があった。