今回の現地取材で浮き彫りになったのは、珈琲のクオリティに一切妥協しない名店たちが仕掛ける「限定スイーツ」の熱狂だ。博多駅周辺のビジネス街の隙間に潜む隠れ家では、朝8時の開店前から焼きたてのカルダモンロールや季節のタルトを求めて静かな行列が生まれている。
薬院の静かな住宅街に構えるNO COFFEEは、「Life with Good Coffee」を掲げ、ブラックを基調としたミニマルな空間で提供される独創的なラテやグッズ展開で国内外のファンを虜にし続けている。一方、久留米発祥で高砂にも拠点を置くCOFFEE COUNTYは、中米の農園へ自ら足を運ぶ徹底的な豆選びに加え、隣接するベーカリーやパティスリーとの有機的なペアリングで味覚のフロンティアを開拓している。
看板のない雑居ビルの3階、あるいは細い路地の突き当たり。地元民しか知らないような穴場へ足を踏み入れると、そこには計算し尽くされた照明とアンティーク家具、そして一杯ごとに豆の個性を引き出す抽出の儀式が待っている。このギャップと発見の喜びこそ、福岡巡りの醍醐味だ。