発端を辿ると、一人のオーストラリア人シェフに行き着く。1993年、シドニーに自身のレストランを開いたビル・グレンジャー氏が、ライム果汁とオリーブオイル、塩で和えたアボカドをトーストに添えて提供した。これが現代に続くアボカドトーストの原点とされている。彼が生み出したリラックスしたブランチスタイルは、オーストラリア特有のカフェカルチャーとして世界中に輸出され、瞬く間にグローバルスタンダードへと駆け上がった。
一方で、この料理は世代間格差の象徴として奇妙なポリティクスを背負わされたこともある。2017年、オーストラリアの不動産富豪ティム・ガーナー氏が「若者が家を買えないのは、カフェで高価なアボカドトーストと贅沢なコーヒーにお金を浪費しているからだ」と発言し、大炎上を巻き起こした。皮肉にもこの騒動は、ミレニアル世代のアイコンとしての地位を決定づけ、カルチャーとしての知名度を爆発的に高める結果となった。