湯布院昭和館の最大の強みは、単にガラスケース越しに古い道具を眺めるのではなく、「昭和30年代の路地裏や店舗の空間に丸ごと身を置ける」体験設計にあります。映画のオープンセットに迷い込んだかのようなリアリティは、細部への徹底したこだわりから生み出されています。
有料展示エリアへ進むと、まず目に飛び込んでくるのが、夕暮れ時を想起させる薄暗く温かみのある照明と、昭和の商店街の街並みです。電器店には初期の白黒テレビや丸型洗濯機が並び、理髪店には当時の洗髪台やポマードの香りが漂ってきそうな小道具が所狭しと配置されています。
さらに奥へ進むと、木造校舎の教室が再現されており、昔懐かしい木製机に座って記念撮影が可能です。黒板にはチョークで文字が書かれ、足踏みオルガンやランドセルが置かれているなど、世代を超えて会話が弾む工夫が凝らされています。また、診察室、駄菓子屋の店先、パチンコ店、映画館の看板など、どの区画を切り取ってもレトロ展示の写真スポットとしてSNS映えする構図が完成します。