数々の名演を残してきた赤木さんですが、意外にも映画の「主演」には長年縁がありませんでした。その夢が結実したのが、2013年公開の映画『ペコロスの母に会いに行く』(森崎東監督)です。
赤木さんは当時88歳。認知症を患いながらも、息子(岩松了さん)との日常をユーモアと温もりたっぷりに生きる母親・岡野みつ江役を熱演しました。この出演により、赤木さんは「世界最高齢での映画初主演女優(88歳175日)」としてギネス世界記録に公式認定される快挙を達成します。
撮影当時、すでに足腰の不安を抱えながらも現場に入ると別人のような集中力をみせ、老いや忘却を哀哀と描くのではなく、生そのものの美しさへと昇華させました。本作は赤木さんにとっての映画遺作となりましたが、生涯にわたって演技への情熱を燃やし続けた証として、今なお日本映画史に燦然と輝いています。